月山湖上のプライド
8月11日、山形県朝日少年自然の家チャレンジキャンプ2020 のイカダ体験の日。
本来ならば子供たちが最上川をイカダで下るのだが、先日の豪雨被害で最上川は危険な状態となっており、寒河江ダム・月山湖でのイカダ漕ぎとなった。
午前中の活動地、四谷沢川の河口めざして子供たちのイカダは進む。
当初は、私はゴムボートに乗りサポートする予定だった。
元職員の服部さんから、「四谷沢川河口の様子を見に行くんで、大滝さんにも見てもらいたいんですが・・・」
と声がかかる。結果、カヤックに乗り込み単身、湖上に乗り出す。
子供たちのイカダより先回りして、カヤックで四谷沢川河口にたどり着く。滝口支配人はじめ所の皆さんと共に四谷沢川の流れ、水遊びできる箇所を確認。
それから引き返し、子供たちのイカダを迎えに行く。
イカダは左右に子供が3人ずつ、班付サポーターと呼ばれる高校生リーダー1名が乗り、オールで漕いでいく。
左右の3人が息を合せて漕がないと、イカダは迷走する。
ぴったり息が合いグングン進むイカダもあれば、個性的な子がそろい喧嘩が始まり先に進まないイカダもある。
一番遅い班のイカダをサポートすべく、私は後方のイカダに伴走する。
男の子と女の子の間で口論が始まり、なかなか前に進まない。
「よし、7馬力だ ! 」
私はカヌーの舳先をイカダ後方に押し付け、力を入れて漕ぐ。私が7人目の漕ぎ手となるのだ。
「らくちんだ!」 イカダ上の男の子が叫ぶ。
まもなく女の子から、
「やめてよ!やめてってば!」
と怒られてしまった。
自分達の力で漕ぎ進みたいらしい。
「ごめんなさーい!」素直に私はカヤックをバックさせ、イカダから離れる。
近くで見ていた元職員で現・学校教員の工藤さんに
「怒られました・・・子供には子供のプライドがあるんですね」と打ち明けながら反省。
四谷沢川岸辺に上陸した子供たち、ほっといても自分達で遊びを考える。
女の子たちはダム作りに夢中。
自然保護論者の大人たちはダムを目の敵にするが、子供たちは誰に教わるでもなく、ダムを作り、そこに喜びを感じている。
四谷沢川河口から戻り、午後からは桟橋にて水遊び。
水の濁りも気にせず、子供たちは喜々として水に飛び込む。高価な玩具も器具も不要、水辺にいることが楽しいのだ。
遊びの後は、イカダ解体が待っている。皆での共同作業も、チャレンジキャンプの大事な行事。
所に戻った後は、子供たちは入浴、その間に所員・サポーター総出で機材の洗浄。
この光景を目にするとき、私たちの「夏」の終わりを感じる。
イカダ関連機材の洗浄が終わり、所員の皆様に挨拶して退所。
今年も貴重な体験をさせていただきました。山形県朝日少年自然の家関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
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