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【訃報】ゴアテックス発明者 ロバート・W・ゴア氏逝去

 今やアウトドア界になくてはならない防水透湿素材「ゴアテックス」の発明者、ロバート・W・ゴア氏が9月17日、アメリカ・メリーランド州の自宅で亡くなりました。83歳でした。死因は明らかにされていませんが、長い闘病生活を送っていたとのことです。

Robert W. Gore, company president and inventor of Gore-Tex, dies at 83 by The Washingtonpost 2020.9.20

Gor1

1969年ゴアテックス素材「発見」の様子を再現しているゴア氏

 道具マニアな方は既にご存じかもしれませんが、もともとデュポンの配管テープの低コスト化のため改良に取り組んでいたゴア氏。

 1969年10月28日、「あー今日も残業かよー」といったかどうかはわかりませんが、業務時間も過ぎた夕方6時過ぎ、

「熱を加えてゆっくり伸ばすのがダメなら、ぐぐぐいっと一気に材料伸ばしたらどうなるべ?」

と、思い付きで上記画像のように材料を両手で伸ばしたら、材料であるPTFE(ポリテトラルフオロエチレン)が予想外に伸びたのです。

これによりPTFEの分子構造が解きほぐされ、何十億もの微細な穴が生じ、今のゴアテックスにつながる生地が産まれたとのこと。

その後のゴアテックスの利用はアウトドアだけではなく、医療・各種産業に用いられることになります。

家内制手工業のような小企業から始まったゴア社は数十億ドルの収益をあげる大企業に成長。

 アメリカでも珍しいといわれるシステムの企業で、かのブルームバーグが「近視眼な投資家に邪魔されず、エンジニアが材料に魔法をかける勤労者の民主主義がある」と述べるように、社長や経理など厳格な階層ではなく従業員は「仲間」として付き合い、ゴア氏自身も「ボブ」と呼ばれることを普段から主張していたとのこと。

 私個人は普段当ブログで主張しているように、大汗かきなもんでゴアテックスの費用対効果には懐疑的です。

しかしながら、現在のアウトドア・登山の隆盛、類似した防水透湿素材がいくつも生まれてきた陰には、1969年10月28日、ゴア氏がたどり着いた「偶然」に端を発するゴアテックス素材誕生が大きく影響していると敬服しています。

 偉大な研究者・経営者の逝去に哀悼の意を表します。

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