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Everest sandwich

ヘミングウェイ作『海流のなかの島々』に出てくるサンドイッチ「Everest sandwich」を作ってみる。

Hemingway

材料は、食パン2枚、厚くスライスした玉ねぎ2枚、ピーナツバター。以上である。

Vlog風にまとめてみました。最近買ったばかりのアクションカメラのタイムラプス撮影を試したら数秒の動画になってしまったので、編集で手を加えて0.125倍のスローにしています。

 

「(略)・・・だからあんた、サンドイッチを一つ作ってくれ」「ああ、どんなのにする?」「ピーナッツ・バターに玉葱だ。ただし玉葱がたっぷりあればの話」「ピーナッツ・バターに玉葱、了解」(中略)

 紙ナプキンの切れ端に包んだサンドイッチをハドソンに手渡し、「サンドイッチ作りの極致だぜ、こいつは、名付けて「エベレスト山スペシャル」。指揮官以下には食わせねえ」

沼澤洽治訳『海流のなかの島々』より

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ピーナツ・バターと玉葱という組み合わせは、アメリカ人にとってもちょっと変わった組み合わせらしい。

The Seattle Timesのフードライター、ベサニー・ジャンクレメントの記事を読んでみたが、玉葱の刺激が強すぎてそんなに美味いものではないと書いている。

私はスーパーの安価な、水飴多めの甘いピーナツバターを使ったため、玉葱の刺激も中和されて普通に食べられました。

さらに調べてみると、アメリカで経験された方もおられるかもしれませんが、実際に使われるのはアメリカ南東部産のビーナッツを用いた、甘味料を一切使わない、塩気のあるピーナッツバターという説もあります。

ヘミングウェイはこのEverest sandwichを赤ワインと共に食すのを好んだとのこと。

 

 小説『海流のなかの島々』は1950~1951年頃に執筆されたものの公開されず、ヘミングウェイの死後1970年に遺作として初めて出版された作品。文章を出版間際まで徹底的に推敲・削除を重ねるヘミングウェイ作品としては異色ともいえる「あまり推敲の手が入っていない小説」として、文学研究者の中には「厳密にいえば、ヘミングウェイの作品ではない」とまで表現する人もいる。一方、「生」のヘミングウェイの姿が描かれていると評する人もいる。

 私にとっては、執筆当時まだ未踏峰だったエベレスト、それが1940年代のカリブ海を舞台にした小説に用いられるところに奇異な印象を受ける。マロリーとアーヴィンの行方不明で世界に「エベレスト」の山名は轟いていただろうが、なぜ海の男のサンドイッチが「Everest」だったのか。

 それ以上あまり難しいことは考えず、「世界の美食を経験しているはずのヘミングウェイは、そんなにこのサンドイッチが好きだったのかなあ」と思いながら完食した。

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