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【Bonatti】みんな誤解してました【Bonaiti】

イタリアのMontagna.tv に興味深い記事が掲載されました。

イタリアでよく引用される山の格言、

『高く登る者は遠くを見、遠くを見る者ほど長く夢を見る』(Chi più in alto sale, più lontano vede; chi più lontano vede, più a lungo sogna.)

イタリアではワルテル・ボナッティの言葉として様々に引用されているのですが、実はこれ、クライミングギアメーカーのフェリチ・ボナイティ(Felice Bonaiti)の言葉。

フェリチ・ボナイティは、リカルド・カシンと組んで登山用カラビナを研究し、世界で初めて非対称形のD型カラビナを製品化した人物。

記事執筆者であるGian Luca Gasca氏は、ボナッティの著書、執筆記事が掲載されていた『エポカ』、さらには私信まで調査・検証を行い、ワルテル・ボナッティが前述の格言を書いた・発言した痕跡が無いこと、誤解の原因を究明しています。

“Chi più in alto sale, più lontano vede” cit. Bonatti o Bonaiti?  by Montagna.tv 2021.12.28

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皆様ご存じ、ワルテル・ボナッティ(Walter Bonatti)

以下記事引用開始

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 では、その誤解は何に由来するのでしょう?ワルテル・ボナッティは優れた講演者でした。「登山の夕べ」での発言でしょうか?あるいは、山に行ったとき、避難小屋で出会ったとき、友人に送ったハガキの文面。

 確かなことは、それがボナッティの言葉として、彼の哲学やスタイルにぴったりと当てはまるということだ。このため、これまで引用の由来が問われることがなかったのも事実である。

フェリチ・ボナイティ
 ボナッティはさておき、フェリチ・ボナイティについて調べてみると、全く新しい世界が開けてきた。第二次世界大戦後、登山用に特別に設計されたカラビナが山にもたらされた時代にさかのぼる。レッコの2人のクライマー、リカルド・カシンとフェリチ・ボナイティが発案し、製品化したのだ。彼らはカラビナの物理的な特性を初めて研究し、操作時にカラビナにかかる負荷を調べた。これらの研究により、非対称のD型カラビナが誕生した。1950年代、カロルツィオコルテにあるフェリチの工場「ジュゼッペ・エ・フラテッリ・ボナイティ」で生産が開始された。この製品はすぐに成功を収め、70年代には生産部門を拡大するため、レッコに移転することを決めたほどだった。

 1977年、ボナイティ家は、今日私たちが知っている「コング」ブランドを創設した。「社名の変更にはさまざまな理由があるが、なによりも国際的な認知度を高めるため」と説明される。しかし、それだけではない。また、ボナイティとボナッティは「どちらもこの地域の歴史的な名字であり、常に混同されてきた」という類似性から、新名称が誕生した。偉大なるワルテル・ボナッティが亡くなった時も、多くの追悼のメッセージが寄せられた」と同社は語る。そのほとんどが、日本やアメリカなど海外から届いた。

しかし、このことが言葉の引用とどう関係するのだろうか。もう少しの辛抱下さい。

 1968年にフェリチの息子であるマルコ・ボナイティが経営者となり、1977年に「ジュゼッペ・エ・フラテッリ・ボナイティ」と改名した。(当時流行していた「キングコング」にちなんだもの。この名前も、生産地に関する混乱を招いたが、それはまた別の話である)そしてコング社のカタログに、「高く登る者は遠くを見、遠くを見る者は、長く夢を見る」というフレーズが初めて登場する。社長の直筆でデザインされたこの社訓は、数年間にわたりカタログの冒頭に使用された。このフレーズには、社長のサインが添えられています。

なぜ、ワルテル・ボナッティなのか?
 まず、ボナッティとボナイティという苗字が似ていることから、誤植と考える人が多かったのだろう。そして2人のサインを見ると、それほど違いはなく、一見した際にはワルテル・ボナッティを思い浮かべることができます。最後に、前述した哲学とスタイルの問題だが、これはボナッティの考え方と非常によく似ている。要するに、誤解を招くような要素の組み合わせだったのだ。

 この調査は、歴史的なレベルで何かが変わるものではなく、ボナッティの記憶を損なうものでもない。私たちはただ、このフレーズの裏に何が隠されているのか知りたいという好奇心に動かされただけなのだ。一時代を築いた偉大な登山家の物語に、新たな逸話が加わった。

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KONG社社長、マルコ・ボナイティ(Marco Bonaiti)氏。KONG社カタログに先代の言葉を掲載した。

 イタリアはもちろん、日本のウェブサイトを検索しても、 Bonaiti のカラビナを「ワルテル・ボナッティの・・・」と誤解されている方が結構見受けられます。まあ、私も若かりし頃は「ボナッティのカラビナなんだー」と誤解してましたw

 文中にもありますが、ボナッティ逝去時にKONG社に追悼メッセージが「日本から」多く届いたとのいうのは、日本におけるボナッティ信奉者の多さを物語るエピソードです。

 ま、この記事を読んで、地元イタリアでも Bonaiti と Bonatti を勘違いしている人は多かったんだ、となぜかほっとする記事でした。

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筆者所有のKONG ロボット。え?私はハイカーなんで使ってませんよ。

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