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バス停で出会った2人

以前掲載した、ヤンヤ・ガンブレットの家族の報道でとりあげられていた、ティヤサ・スレメンシュクとの友情を、スロベニアの報道web・Siol NETが詳細に伝えています。

バス停で出会った2人が紡いだ友情物語です。

Zgodba o prijateljstvu z avtobusne postaje, kakršnega bi si vsi želeli by Siol.NET 2021.12.26

以下記事引用開始

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ヤンヤ・ガンブレットとティヤサ・スレメンシュク
誰もが羨む、バス停からの友情物語  執筆:Alenka Teran Košir

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22歳のクライマー、ヤンヤ・ガンブレットとティヤサ・スレメンシュクは、人生の半分以上を共に過ごした親友である。

 友の苦しみに同情することは誰にでもできるが、友の成功に共感できるのは偉大な人物だけだ、とアイルランドの劇作家オスカー・ワイルドは書いている。スポーツクライミングのオリンピックチャンピオン、ヤンヤ・ガンブレットと、同期で13年来の仲であるティヤサ・スレメンシュクには、きっと友情についての格言があるに違いない。小学3年生から始まった2人の友情は昨年、太陽と月をあしらった、お揃いのタトゥーで表現された。「私たちは、常に"ワンパッケージ"でやってきました」とヤンヤは冗談を言う。

 シュマルトノ出身とヴェレニエ出身の2人が出会ったのは2008年、ヤンヤ・ガンブレットがヴェレニエで華麗なクライミングの物語をスタートさせたときだった。彼女達は9歳だった。

「スロベニア・グラデツでコーチがいなくなったので、ヴェレニエでトレーニングをするようになったんです。東部地域のコンペで知り合った私たちの母親が、ティヤサがヴェレニエのバス停で私と合流して一緒にトレーニングに行くことを約束しました。それがきっかけでした」とヤンヤは振り返る。

「そうやって、毎日バス停で彼女を待っていたんです」と微笑むのは、スポーツクライミングのオリンピックチャンピオンの人生において、大きな支えとなっていたティヤサ・スレメンシュク。「そう、彼女は6年間もバス停で待っていてくれたんです」とヤンヤは冗談めかして言う。「運転免許試験に合格するまでは」と付け加える。

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二人の友情はヴェレニエのバスターミナルで始まった。写真:Grega Valančič

早めのバスで時間を稼ぐ

ティヤサは「私たちはすぐに意気投合しました」と言い、二人の友情は週ごとに深まっていった。

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2010年、イタリアのクライミング・キャンプでヤンヤとティヤサ。クライミング界のレジェンド、クリス・シャーマと一緒に写真に収まる。

 ヤンヤはヴェレニエに行き、現在スポーツクライミング・スロベニア代表チームのコーチ兼選考委員であるゴラズド・フレンに見守られながら、早くからトレーニングを積んだ。

「今でも覚えています。16時8分のバスには乗らず、15時33分にヴェレニエに向けて出発してました。そうすれば話をする時間も増えるし、時には遊びに行くこともありました。 時々、いえ、いつも、靴や上着や帽子を取り替えてました。」

「ヤンヤは私の靴を履き、私は彼女の靴を履くというように、時々靴を履き替えました。ウィンドブレーカーと帽子も入れ替えました(笑)」「なぜかわかりませんが、そうしてました」とヤンヤは明かす。「何をしたいかよくわからないけど、でも、やってたんです。」

二人の会話はクライミングの話だけでなく、さまざまなことに及んだ。

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「ティヤサは朝型人間で、私はそうじゃありません。それが私たちの唯一の違いです」とヤンヤは言う。

 性格もよく似ているという。「私たちの唯一の違いは、ティヤサは朝型人間で、私はそうじゃないことです」とヤンヤ。「他の点では、私たちはほとんど同じです。それ以外は、いつも一緒です。例えばサッカーのチームを選ぶときも、私たちは一緒に来ているので、離れることはできないと常に明言していました。」

トレーニングもいつも同じように熱心に取り組んだ。「ゴラズドがウォーミングアップのトレーニングを示したときは、誰が一番早くボルダーを登れるか、みんなで競い合ったんです。いつもどちらが先に登るかで議論していました」とティヤサは振り返り、ヤンヤは「東部地域のコンペで撮った、2人が一緒に表彰台に上がっている写真が家に何枚かあるんです」とすぐに付け加えた。

幼い頃から、他人から見れば信じられないような動きを披露していました

 ヤンヤがコンペで目立ち始めたのはいつ頃ですか?「でも、すでに東部地域のコンペでは、私たちから見るとちょっとおかしいと思うような動きをしていたんです。でも、キャンプでクライミングを始めたら、ヤンヤは難しいルートでもすぐに登ってしまうんです」ティヤサは、幼い頃から親友を見守り続けてきたことを振り返る。

学校でも二人は切っても切れない仲だった。ヴェレニエ・スクールセンター・スポーツ部門に通うようになってからは、ほぼ毎日一緒に過ごすようになった。「まず、午前中は学校で、午後はトレーニングで一緒になりました。確かに、お互いにイライラする日もありましたが、それは理解できます」とティヤサは言う。

ヤンヤ・ガンブレット:親友は一人しかいない

「私たちの関係は何年もかけて変化してきましたが、親友であることは変わりません。丸々1カ月間、話をしないこともありますが、連絡を取ると以前と同じようになります。話していても、何か大事なことがあるとすぐに電話する。まだ怒ってるんだけど、あれこれ言わないといけないから」と笑う彼女は、スロベニア・スポーツ・ジャーナリスト協会のメンバーから3度目となる「スロベニア・スポーツウーマン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

「親友は何人いてもいいと言う人もいますが、私はそうは思いません。親友は一人しかいないと思う。何でも話せるもの」とヤンヤは言う。「そして、必要なときには夜中の3時に電話すればいいのです」と、ティヤサは付け加えます。

互いを気に掛ける

また、試合前にはお互いの意見を聞き合います。「"他の人 "ではなく、私にとって一番大切なのはティヤサの意見を聴くことです。私が万が一、自分自身を疑ってしまったときに、彼女が何か言ってくれるのをわかっているからです。」

クライミング競技の観戦は、二人にとって特別な時間だ。「ティヤサが出場するときは、いつもとても緊張するんです。見ていて本当に辛いというか、全く見ていられない。緊張しすぎです。」

「同じです」とティヤサは言う。「オリンピックは家で見るしかない、どこにも行きたくないと思っていたのですが、Bolder Stageでパブリック・ビューイングで観戦していました。少しも疑ってはいませんでしたが、やはり家で観戦したかったです。ヤンヤがスピードで滑ってしまったこと、その後、ありがたいことにすべてがうまくいったことを今でも覚えています。」

普段、お互いの関係の主導権を握っているのはどちらでしょうか? 「それが何かによるます」とティヤサは答えた。

「ティヤサはどちらかというとクリエイティブなタイプなんです。彼女は素晴らしいアイデアを持っていて、自分を整理する術も、イニシアチブをとる術も心得ています。学校の授業で、プラ板でアニメを作ることになったのを覚えています。フィギュアを作って、それを動かしながら塗装して、それを映像にするというものでした。まあ、ティヤサは本当によくやってくれましたよ。」

「彼女は虫とリンゴを作り、虫がリンゴを食べるという物語を作りました。そんなこと、覚えてもいないし、思い出せるわけがない。まあ、最後にハイタッチしてもらったんですけどね、大して役に立ってないのに」とヤンヤは笑う。

一方が何かを必要とするとき、もう一方がすぐに助けに来る

 そしてティヤサは親友のことをどう思っているのでしょうか?「ヤンヤはとても粘り強い性格で、完璧主義者なんです。ミスがあると、彼女の気が散ってしまう。学校でもそうでしたね。ノートに間違ったことを書くと、そのページを丸ごと破ってしまう。家でも、すべてのものがいつも定位置にある。私が好きなのは、彼女は自分のしていることにとても集中することです。その瞬間は、世界中の何ものも彼女を邪魔することはできないでしょう。そして彼女は、たとえ100件の用事を抱えていても、いつでも助けてくれる。」

「その点では、私たちは同じですね」と、ヤンヤが口を挟む。「片方が「欲しい」と言えば、もう片方もすぐに飛びつく。最後にお願いしたことは何でしたっけ?ファクスの充電コードを持っていったこと? ええ、とにかく、彼女を助けるためなら全てを投げ出します。ティヤサも同じです。」

「そういえば、ヴェレニエまでの交通手段がないときに、ヤンヤがスロヴェニ・グラデツからリュブリャナまで車で送ってくれたことがありました。リュブリャナではどんな約束をしているのかと聞くと、何もない、リュブリャナに来たばかりだという。スロヴェニ・グラデツからリュブリャナですよ! (訳者注 スロヴェニ・グラデツからリュブリャナまで、最短でも約100kmの道のりである) クレイジー!」ティヤサは今でも驚いています。「友達ってそういうものでしょ」とヤンヤは言う。

昨年の夏、二人の友情は特別な形で結ばれた。お揃いのタトゥーで。

「昨年、ティヤサがタトゥーを入れるというアイデアを思いつきました。モチーフのアイデアも提案してくれて、すぐに気に入りました。」

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「私たちがお互いを補うように、お互い支えあうものをと考えたのです。太陽と月を選びました」とティヤサは説明する。

片方には月が、もう片方には太陽が描かれています。

 面白いことに、彼女たちの母親も、彼女たちを自分の子供として受け入れていた。「ティヤサのお母さんロマーナにランチに誘われたけど、ティヤサは留守でした。面白いでしょう?」

「ヤンヤの家にいると、いつも落ち着くんです」とティヤサは言う。「ヤンヤのお母さんと私は海辺に遊びに行ったりしてました」

彼らはそのような友情の価値に気づいているのだろうか?

「そう、「プライスレス」なんです。また、お互いを大切に思っているところがいいです。ヤンヤが悲しいと私も機嫌が悪くなるし、その逆もあります」とティヤサは言う。

「彼女は私が何か言う前に、すでに私の機嫌が悪いことが分かるんです。学校でティヤサが「ねえ、どうして・・」と聞くので、「ああ、NLPリーグ(訳者注 スロベニアのクライミングコンペ)がなぜ土曜日にあるのかわかんないわよ」と言うと、ティヤサは「どうして私がそう言うとわかったの?」と言ったのを覚えています。

「そうですね、私たちはよくお互いに言葉を言いかけて、それで彼女が私の心を読んでいるように感じることがよくあります」とティヤサは言う。「"おかしい "と思われるかもしれませんが、本当です。私が話し始めかけた言葉を彼女が続けたとき、文字通り衝撃を受けた瞬間が何度もありました。」

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2人はまだまだ現役の競技クライマー、ティヤサ・スレメンシュクもスロベニア代表のクライマーです。支えあう2人のクライマーは、将来のパリ五輪をはじめ、これからどんなパフォーマンスをみせてくれるのでしょうか。

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