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ピオレドールロシア、ライブ中継と式典を中止【2022年2月27日訂正】

【記事訂正 当初「選考と式典中止」と記事を書きましたが、実際に中止されたのは「Youtubeによるライブ中継と式典」であり、ピオレドールおよびスチールエンジェル賞の授与は予定どおりモスクワ市内で行われました。ここに訂正いたします。山岳ジャーナリストの森山憲一様のツイッターならびに多くの皆様のリツィートで不正確な情報が流れてしまい、申し訳ございません】

 2020~2021年シーズンの旧ソ連圏クライマーによる素晴らしいクライミングに贈られるアワード『ピオレドール・ロシア』、旧ソ連圏の女性パーティによるクライミングに贈られる『スチール・エンジェル』のライブ中継と式典(主催・ロシア山岳連盟)が開催予定の2月26日当日になって中止となりました。

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既にウクライナとの緊張が高まっていた2月19日にはロシア山岳連盟ウェブサイトにて

『この困難な瞬間に、私たちはFAR(ロシア山岳連盟)の集会をキャンセルしないことに決めました。悲劇は承知していますが、2年間のブランクは長すぎ、アスリート達の活躍を無視することはできませんでした。山は真の友情の場であり、政治に無関係の場であることにご留意ください。』

とのアナウンスが流れ、youtubeではライブ配信の用意がなされ、2月26日を迎えた当日、開催中止となる異例の事態となりました。

理由はもちろん、ロシアのウクライナ侵攻に関係します。

ロシア山岳連盟スタッフで広報担当、自身もスチールエンジェル受賞のクライマーであり、本イベントマネージャーのイリーナ・モロゾワがロシアのクライミングサイトにて、心情を吐露しています。全文を紹介します。

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山 - フリーゾーン

イリーナ・モロゾワ(Irina Morozowa) 2022年2月25日

 まず初めに、以下に述べる意見は、あくまでも自由人でありクライマーである私個人の意見であり、他の誰の意見とも一切関係はなく、いかなる組織、ビジネスパートナー、友人、さらには家族の意見も反映していないことに注意されたい。

Freezone

 自由人である私は、外から押し付けられた意見、見解、行動、特に政治的な性質のものは好みません。

 以前、私が登山を始めた80年代は、政治とは無縁の環境でした。かつて人々は、社会体制の重圧から逃れるために山へ行きました。選挙に参加する代わりに、クズネツチノエの岩場に行くわけで、選挙のために丸2日の休日と訓練をサボるなどというのは、誰も思いつきませんでした。

 何が変わったのでしょうか?登山が変わったか?世界が変わったのか?人なのか山なのか?どうして政治が私たちの山頂の上に位置しているのでしょうか。

 本日、FARイブニング(訳者注:ロシア山岳連盟の集会)、ピオレドールロシア、スチールエンジェルのセレモニーの生中継の中止が決定しました。この決定は、FAR役員と今夜のイベント主催者に対する世論の圧力によるものです。

 私は自由人として、そのような圧力に反対します。現在、私はモスクワから遠く離れた場所に住んでいますが、パンデミックや世界革命のニュースを押し付けられるだけでなく、素晴らしいルートを辿って表彰されるアスリートの表情を見たいと思っています。

 政治など汚らわしいものは、山奥には存在しない。

 人間だけでなく、鳥や生き物の命にさえ畏敬の念を抱くのです。だから、ウクライナや地球の裏側の国のように、同じ政治のために平和な人々が苦しんでいるのを見ると、悲しくなるのです。

 しかし、スポーツ選手の表彰式や中継を中止するような行動で、本当に事態が解決すると思っているのでしょうか?そんなことをして、本当に敵対関係がなくなるのでしょうか?

 それとも、今は誰かのスポーツの功績を喜ぶべき時ではないとお考えですか? 何百万人もの人々が土曜日の夜にバーで酔っぱらい、ディスコでパーティーをしていないと信じるのは、本気でナイーブなのでしょうか?

 私は、政治に、戦争に、意識操作に、そしてスポーツを通して、山を通して、私たちのクライミングと成果を通して、侵略にノーと言うことを強く勧めます!

 そして、ロシアやヨーロッパなど世界各国に住む私の友人が、自分の意見を持つ権利を認めず、抗議の意味を込めて私との友情を断とうとするならば、彼らはそもそも私の友人ではなかったし、意味のない絆を切るべき時なのです。友人とは、たとえ考え方が違っていても、相手の主張を受け入れられなくても、自分の意見を持つ権利を尊重する人たちのことです。

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※太文字強調は原文のまま

なお、ロシア山岳連盟のピオレドールロシア特設ページのコメント欄には、アレクサンドル・グコフの名義で『主催者は今の状況で今夜を過ごすつもりは無いでしょうね?』とコメントを寄せています。本人であるとすれば、タムセルク南西壁ダイレクトで第23回ピオレドール受賞のアレクサンドル・グコフのコメントと思われます。

 昨年ロシアメディアで話題になりましたが、旧ソ連登山史を語る上で欠かせない登山家、エフゲニー・アバラコフの死因について報道されました。従来、日本など諸外国では「アバラコフは住まいのガス漏れによる中毒死で亡くなった」とされていましたが、ロシアの情報公開によれば、スターリンによる粛清(暗殺)の可能性が高い、という報道でした。

 「21世紀の今、戦争なのか」とSNSで語る人は多いのですが、私達がウクライナに見る光景は、プーチンがスターリンに成り代わっただけの世界なのかもしれません。

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