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【訃報】ピット・シューベルト氏 逝去

 名著『生と死の分岐点』の著者であり、23年にわたりDAV(ドイツ山岳協会)会長をつとめ、「安全の帝王」の異名を持つピット・シューベルト氏が2024年3月5日に亡くなりました。88歳でした。死因は明らかにされておりません。

Nachruf: Pit Schubert im Alter von 88 Jahren verstorben by ALPIN.de 20240305

Pit

ピット・シューベルト氏 近影

ピット・シューベルト(クラウス・ピーター・シューベルト)は1935年に現ポーランド領のヴロツワフ出身。
1960年代から先鋭クライマーとして名を馳せ、六大北壁をはじめヨーロッパアルプスのほぼすべての北壁を登攀しています。
30回以上の初登攀を記録、1976年にはアンナプルナ4峰南壁を初登して山頂に立ちました。

Pit2

1976年、アンナプルナ4峰南壁初登を果たし、凍傷によりミュンヘン空港で背負われて帰国するピット・シューベルト氏。「安全の帝王」と呼ばれたクライマーも、ヒマラヤの自然の猛威に足指全てを失いました。もちろん、足指を失った後も専用のクライミングシューズとアイゼンを開発、クライミングにカムバックしました。

1960年代当時、まだ普及していなかったヘルメットをクライミングで積極的に使用、おかげで九死に一生を得るなどの自身の経験だけでなく、取得した工学学位の知識、航空宇宙産業の技術を登山・クライミングに流用、用具の開発や安全啓蒙に力を注ぎました。

1978年~2000年にわたりDAV(ドイツ山岳協会)会長、1996年~2004年までUIAA安全委員会委員長を務め、2008年以降はUIAA名誉会員となります。
登山用品の安全規格の成立とクライミングボルトの安全性に特に注力、日本では『生と死の分岐点』(原題 Sicherheit und Risiko in Fels und Eis)が知られていますが、ヨーロッパでは多数の著書を出版し、安全啓蒙に努めたことで知られています。

偉大な登山の先達の逝去に、哀悼の意を表します。

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