ボナッティの映画『CON I MUSCOLI, CON IL CUORE, CON LA TEST』

ワルテル・ボナッティを尊敬してやまない諸先輩方、おまちかねでございます。

 イタリアで開催される著名な山岳映画祭「トレント山岳映画祭」において、ワルテル・ボナッティと周囲の人々のインタビューで構成されたドキュメンタリー映画『CON I MUSCOLI, CON IL CUORE, CON LA TEST』 (頭脳と、肉体と、精神と) が公開されました。
奥様のロッサナ・ポデスタさんが「興奮とともに、心に触れる」と賞賛した映画は、上映後に300人の観客から拍手が鳴りやまなかったとのこと。

Trento, presentato in anteprima assoluta il film su Walter Bonatti by Montagna.tv 2012.5.2

 この映画は2011年に製作が開始されましたが、同年9月にボナッティ氏が逝去、スタッフは周囲の人々からインタビューを集め、72分間のドキュメンタリー作品にまとめました。

 予告動画を拝見しまたが、動画開始1分26秒からロッサナ・ポデスタさんがボナッティ氏の記録帳を手にしている場面に、非常に興味をそそられます。ボナッティ氏の書斎の風景とともに、氏はどんな記録をとりまとめていたのか。
 予告動画はこちら↓

 バンフなんとかいう「世界最高」(冷笑)な映画祭の、ド派手なだけがとりえのスキーの映像はなんか飽きてきたよな。
 じっくりと、本物の岳人の人生を、スクリーンでみせてほしいものです。

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スロベニア山岳映画『Sfinga』(スフィンクス)

スロベニアといえばトリグラフ山群という魅力的な岩場がありますね。

このトリグラフを舞台にした映画『Sfinga』(スフィンクス)が東欧のクライミングサイトで話題になっています。

予告動画はこちら↓

 予告編では、トリグラフの岩場「スフィンクス」をめぐる、1966年の初登攀と1995年のフリー化の模様が交差する、単なるドキュメンタリー構成ではないミステリアスかつ幻想的な作品となっています。

 ちなみに好色エロ坊主なクライマーのみなさん、注目点は、
Nata
スロベニアのナタリア・グロスお姉様がウエイトレス役で出演してます。

ロシアのクライミングサイトによれば各国の山岳映画祭に出品されている様子ですので、バンフフェスで期待できるかな?

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イタリア山岳会、45本の山岳映画トレイラーを公開

イタリア山岳会が、秘蔵ともいえる貴重な山岳映像コレクションの一部、45本をYOUTUBEにて公開しました(トレイラーのみ)

Film, 45 trailer della Cineteca CAI disponibili su YouTube by Montagna.tv 2012.4.17

公開された動画は、下記サイトから選択して閲覧できます。

http://www.youtube.com/playlist?list=PL3A3A938118B79899

この中にはトレント映画祭で入賞した作品が含まれています。
イタリア隊によるK2初登頂、ガッシャブルムⅣ峰、ポーランド隊によるマナスルなどが動画で閲覧できるのは貴重でしょう。
なお筆者のイチオシは、


1953年のトレント映画祭で入賞した、ドロミテ・ブレンタ山群の岩壁カンパニールバッソの単独登攀・下降を記録した『第6級のモノローグ』。
記録されているクライマーは、かのチェザレ・マエストリです。

 日本では偏向した山岳メディアによって完全な悪役扱いのマエストリですが、現役バリバリの当時は困難な岩壁の単独登攀だけでなく単独「下降」も数々記録していることで知られています。
 なんだかんだいっても、マエストリのクライミングに関しては、大昔の岩雪やダグ・スコットの「ビッグウォール・クライミング」など 文 章 で し か 知る手段が無かったわけですが、当時の姿がこのように動画で見られるのは貴重な機会でしょう。

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【映画】ナバロンの要塞

ガイド仲間の会合で、結構ムカッとくるやりとりもあり、

「あーやっぱ出張疲れだなこれ。」

なもんで、気分転換の名目で映画館直行。
本日は、
Navalone

昔テレビ東京の夕方枠で、ズタズタにカットされたやつを見て以来でしたが、大スクリーンでみる『ナバロンの要塞』は良かったですな。

主人公のグレゴリー・ペックは第二次世界大戦前の世界的な登山家キース・マロリーという設定なのですが、
Gre
打ち込んだハーケンにA0しまくりでドイツ軍がウヨウヨいるナバロン島の岩壁を夜間の雨天下に登攀、潜入します。

 まあ今さらナバロンの要塞のストーリーを説明するのも面倒ですが、現代のアメリカ映画みたいにミジンコアメーバ並みの単細胞的な勧善懲悪アクションではないところが魅力ですね。
 敵の要塞に忍び込む特殊部隊として、一癖も二癖もある連中という設定には一応なってはいますが、メンバーそれぞれ人間らしい「弱さ」を抱えた設定がこの映画を単なるアクション物に終わらせていないわけです。
 アリステア・マクリーンの原作も読んではいますが、映像化してさらに素晴らしい結果となっている数少ない映画でしょう。

 この映画に思い入れがあるのは、
Daf
 映画の終盤、生還した二人(海に飛び込んで引き上げられた)が、防寒のために着用していたのがダッフルコート。
 ダッフルコートといえば、高校受験の中学生とか、山形ではジャージ姿の女子中学生が着込んでいる姿をよくみかけますが、もともとはイギリス海軍の軍服です。昔この映画に影響されて、一着買いました。今でも実家のクローゼットに吊されてるかな。

 安物テレビの小さい画面より、スクリーンでみてこそわかる映画の良さを感じた時間でした。

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【映画】 無言歌

T0010823p映画『無言歌』を観る。
映画『無言歌』公式サイト

山形国際ドキュメンタリー映画祭で名前を知られた王兵(Wang Bing)監督。
私はあの田舎臭い祭り騒ぎが嫌いなので、山形国際ドキュメンタリー映画祭には足は運んでいない。
ストーリーは1950~60年代、毛沢東の「批判大歓迎よ~」との呼びかけに応じて知識人がアレコレ言ったところ、「やっぱりオメーら右翼あるね!!」と中国共産党のチャンコロ共が多数の人々を弾圧・死に至らしめた、いわゆる『反右派闘争』による強制労働所での出来事をドキュメンタリータッチで描いた映画。

下記動画の予告編には「人間の尊厳」などという言葉が出てくるが、この映画にはそんなものは存在しない。
草もまばらな甘粛省のゴビ砂漠にある強制労働所。
過酷な労働の中、与えられるのは水に等しい粥ばかり。
飢餓の中、病に倒れた者の嘔吐物まで口に入れる場面。
直接の描写はないが、人肉食も横行する労働所。

この映画に、背景音楽は一切無い。
そして登場人物の表情に、笑顔も一切無い。
疲れ切った顔、悲しみの顔、苦渋の顔、それだけである。

冒頭から他人の食器を舐め、ゲロを喰うシーンが続き、この映画のストーリーの軸となる人物、囚われの身でありながら公安出身ということで所長の信頼も受けている「陳」が、老人に水を差し出す場面がある。

ただ、水入りのカップを差し出すだけの動作が、なんと暖かく感じられることよ。

毎日毎日、誰かが飢えと病で死んでいく。
そんなある日、ある囚人の妻が訪ねてくる。
彼は数日前に死んだばかり。
悲しみの中、妻が「みなさんで食べてください」とビスケットを差し出す。

それまで無関心をよそおっていた-いや、飢えと絶望で他人に関心すら無かった-男たちが、ぞろぞろと布団から出てきてビスケットを口に入れる。それはロメロ監督の映画に出てくるゾンビそのまんまだ。喰うことが生きること、それが全て、という世界。

囚人たちの住まいは、土の中に掘られた「壕」と呼ばれる部屋。
ムシロが風であおられ、時折ゴビ砂漠のまぶしい光が刺す。
映画において、ここまで乾ききった、残酷な光を私は知らない。

物語は一点の希望も無く、次々と囚人たちが死んでいくだけ。
あまりの死者の多さに囚人たちの一時帰郷が計画され、収容所の所長が「陳」に部下として働かないか、と問いかける。
その「陳」が布団にもぐり込んだところで映画は終わる。

ちなみにこの映画の製作は香港・フランス・ベルギー合作。
普段は日本国憲法草案などと偉そうに唱える嫁売新聞では「中国本土では上映の機会が無い」などと腰抜けな表現を用いているが、この映画は中華人民共和国内では上映禁止である。
監督の王兵はリスクをおかし、この映画を中国当局の目を盗み中国国内で撮影した。

私がこの映画に興味をひかれたのは、新聞評で王兵が「人間の誠意というものを描きたい」という意味の発言をしていたからだ。

他人のゲロを喰い、人肉食が横行する収容所で、病に伏した他人に水の入ったカップを捧げる。
「陳」のその行為に、私はたしかに人の誠意というものを観た。

映画「無言歌」予告編

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