老い

フランスの哲学者ボーヴォワールの著作『老い』の解説動画をYoutubeで視聴した翌日。

会社を退出した夜、山形市総合スポーツセンターのトレーニングルーム利用の為、息子と共に「体力測定」を受ける。

同施設のトレーニングルームを利用するためには、この「体力測定」を受けなければならない。

測定項目は、身長、体重、体脂肪率、血圧、最大酸素摂取量、柔軟性(前屈)、敏捷性(センサーによる全身反応時間測定)、垂直飛び、握力、上体おこし、閉眼片足立ち である。

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何ともショックだったのは、閉眼片足立ち75秒で体力年齢がずっと若かった以外は全ての項目で息子に負けていたこと。

最大酸素摂取量は、体力測定プログラムが入った高性能なエアロバイクを11分間漕ぎ続けて測定する。時間と共にペダルの負荷が自動で重くなり、センサーで計測した脈拍を記録、内蔵コンピューターが最大酸素摂取量を計算していく。

私が31.6ml/kg/min、息子が44.0ml/kg/min。

ちなみに、8000m峰14座全山登頂で知られるラインホルト・メスナーが、全山登頂を果たした1986年当時に測定した最大酸素摂取量の測定値が49.1mi/kg/min。

私の場合は単なるトレーニング不足もあるのだが、息子の若さと自分の老いを、具体的な数値を突きつけられて実感する。

老いると、人はかつての自分を模倣するという。「昔取った杵柄」にハマって命を落とした登山者を幾人も見てきた。

私にとって遠くない老境に、今よりも衰えた自分にはどんな登山ができるのか。時折考えることもある。

ウォーミングアップのためにランニングマシンで歩き続ける私の隣で、息子は同じマシンで快調に走っている。

心ひそかに、海外登山を目指していた頃の体力を取り戻そうと企んでいたのだが、老いという現実と向かい合わなければならない事をあらためて実感した夜だった。

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卒業式と湿り雪

3月1日。

勤め先の創立記念日で休日、息子の通う魁!男塾 山形分校の卒業式に出席。

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女子学生が全くいないので、会場は学ランの黒一色。

卒業生入場で会場に入る息子を眺める。

普段は成長を実感することはあまり無いのだが、山岳部生活のおかげだろう、風呂上りの息子の身体の下半身はビックリするくらいガッシリしていた。

卒業式のセレモニーだけ参加、PTA解散式と最後のホームルームはごめんなさいして学校を退出。

自宅でスーツからファイントラックのウェアに着替え、永谷園の梅茶漬けをかきこみ、速攻で月山山麓に移動。

明日に控えた少年自然の家のブナ林歩き、荒天が予想されるためルートが確定していないので、橋を渡る箇所などの危険地帯に篠竹ペナントを設置していく。

既に寒気の影響があると思いきや、月山山麓は気温が高かったのか重たい雪でスノーシューで歩くのも一苦労。

携帯に自然の家担当のEさんから連絡が入り、明日は以前に私が提示していた「Bプラン」コースを行きたいとのこと。

急ぎ志津温泉から弓張平に移動、合体ブナを目指すコースをたどる。日没まであと3時間。

前回2月4日に往復した時より、相当気温が高かったのだろう、雪が重い。

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自分のペースで1時間半ほどで合体ブナを往復、危険個所や子供達が遊べる箇所などを確認しながら進む。

高温でブナの小枝には雫が幾つも垂れている。ここのブナ林は人里に近い二次林で、野生動物の痕跡も少なく、無知無学な私には自然解説の材料が物足りない。さあ、どうなる明日の俺!?

車に戻る頃には寒気の影響で激しい雪になってきた。国道112号に降りると雨になる。わずかな高度差で気候が全く異なる。

様々な気象条件と明日の山の様子、子供達へのガイディングをイメージする。最終打ち合わせをすべく、夕暮れの国道を走り少年自然の家を目指した。

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受験生の夜

息子の大学受験付き添いの為、某県某市に移動・滞在。

うちの息子、宿泊用具はモンベルのトートバッグに、衣類はポリ袋に詰めて空気を抜き突っ込んでいる。

(やっぱりこいつ山岳部員だ・・・)

無事、某市に移動。試験後、夕方迎えに行く。

地下鉄の長いエスカレーターで聞かれる。

息子「みんな、なんで階段使わないの?」

私「楽だからだろ」

息子「みんな怠惰すぎるよ」

と、息子はスタスタと誰もいない、長大な階段を登っていく。

(やっぱりこいつ山岳部員だ・・・)

私も何の疑問も無くエスカレーターを使っていたので、息子に「若さ」と「年齢」を見せつけられる。

宿にチェックイン。

ベースブレッド(完全栄養食のパン)にハマっている息子は外食はしないという。

父親はウキウキ・・あいや、1人さびしく近所のインド料理屋にて久々のインド料理とラッシー。

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ビジネスホテルに戻り、静かな部屋で

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シェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」を読む。

ブログをご覧の皆様の応援には申し訳ございませんが、息子は既に浪人を決めている。今年の受験は経験を積むことが目的だ。

浪人されると経済的にも苦しいのだが、私自身が海外登山など、やりたいことをやらせてもらった。娘、息子のやりたいことは借金してでもやらせてあげたいと決めている。

明日は受験2日め。緊張している息子にはかける言葉もなく、それぞれの部屋で夜を過ごす。

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PTA役員の夜

息子の通う高校のPTA臨時会議および謝恩会運営のため、17日夕方から山形市内のホテルに詰める。

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スーツ姿で15時半に集合、PTA関連の決算書を睨みながら会議を終え、18時開催の謝恩会の準備。

前々から当ブログに書いているが、私は母校たる高校にネガティブな思いしか無く、同窓会の案内郵便物も封を切らずにゴミ箱に叩き込んでいる。つながりは高校山岳部関係者だけだ。今日も、実際の仕切り役であるPTA副委員長が山岳部で1年後輩のI君だった義理があるため、微力を注いだだけである。

 1月から2月にかけ、会社の現場仕事、内業、ガイド団体の要職、能登半島地震の支援団体とJMGAガイドの連絡役、そしてPTA役員と、

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頭が映画『スキャナーズ』状態。

卒業も国公立2次試験もあとに控えたこの時期に謝恩会するのは、ウチの高校の伝統らしい。(というか空き日程が無いらしい)。

 カミさんからは「(息子が受験控えている時期に) 宴席に出る気がしない」と言われていたのだが、他のPTA役員に聞いても「ウチの妻もおんなじでして・・」という方が多く、少しホッとする。と申しましょうか、受験生を抱えた家庭の迷い・悩みなど、やはり同じ立場の父親・母親で話題になり、話を交わすと「ウチもそうそう」という感じで共感する話題が多い。

 21時までの宴席。「そんなの何話すんだよ」と開催前は考えていたが、実際はあっという間の3時間だった。

 最後にようやく高校山岳部顧問の高橋先生に話かけることができた。今日は高体連山岳部顧問の先生方の研修で湯殿山往復してきたという。日焼けした高橋先生に謝意を伝える。ネット界隈では高校山岳部をいたずらに貶める発言も多いが、支えてくれる先生方には感謝しかない。

 宴席を終え、PTA副委員長で山岳部後輩のI君にも挨拶し、会場を出る。2月とは思えない温暖な夜の中、自宅に戻った。

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Have You Ever Seen the Rain

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土曜日、17時。

定時と共に会社を飛び出し、おまわりさんに言えない速度で国道13号を走り抜け、山形南高山岳部OB会に出席。

OB会といっても酒席ではなく、某カメラ店2階の撮影スタジオで静かに開催される。

昨年と同じ顔合わせで、私より年下は山形東高山岳部顧問を務める田中先生のみ、他の皆さまはずっと年長のOB皆様。

現在は山を離れスキーに勤しんでいるOBが多いのだが、伺ってビックリしたのは山形県内のスキー部の衰退ぶり。かつては山形県最上地方(山形県北部)といえばクロスカントリースキーの名門校が多く五輪選手も輩出しているのだが、その最上地方ですらスキー部が廃部になっているらしい。

衰退著しい高校山岳部だけど、そこそこ部員は入ってくる。理由を伝聞ながら聞くと「中学には無い種目」だから入部してくるという。

山岳地に恵まれた山形だからこそ、山岳部はもちろんスキー部も廃れるのも寂しい限りである。

年に一回しかお会いしてませんが、久々の高校山岳部OB会を終えて外に出ると雨。2月だというのに雨。

CCRの「Have You Ever Seen the Rain」を聴きながら、老母の様子をみるべく実家に向かう土曜の夜。

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誕 生 祝

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ひと月遅れたが息子の誕生祝いを調達するため、川崎駅近くのノースフェイス直営店を訪問。

息子はTシャツにはうるさい。素材はコットンは不可、ランニングやトレーニングに使える化繊・速乾素材のTシャツでなければ受け付けない。

さらに、ゆったりサイズが絶対条件でタイトなサイズは不可。ウェアに関しては我儘勝手な息子である。

日曜、家族連れでにぎわうノースフェイス店。これまた色んなウェアがバラバラに展示されているのでわかりにくい。

なんとかポリエステル100%素材で、なおかつそれなりに私の財布を直撃しない値段のシャツを探し出し購入。

受験を控えた息子に、丹沢・大山阿夫利神社で入手した御守も忍ばせる。

親の心子知らず。子の心親知らず。

私が過去そうだったように普段反抗的な息子だが、親としてはとにかく自分の目標に向かって進んでほしい。

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図 書 室

九連休って、麻雀の役満ですか?

4月30日、息子の通う魁!男塾山形分校の授業参観とPTA総会。

授業参観は12時開始、その後PTA総会を経てクラス懇親会16時開始という長時間のマラソン行事。

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息子の授業は物理。

ヤングの回析格子の授業だった。

男子校といわれる我が母校も大きく変わった。私が現役学生の頃は教員は全て男性、女性職員といえば保健室のおばちゃんくらいだったが、今は教頭も女性、息子が受けている物理の教師も女性である。

息子の授業態度を見届け、教室を抜け出す。

そこは勝手知ったる我が母校、受付の職員に見つからないよう遠回りして廊下を歩き、図書室を訪問。

司書の先生にOBである旨お話し、中を見学させてもらった。

図書室自体は変わらないが、私が現役学生だった数百万年前とは書架の書籍も大きく変わっていた。

何度も当ブログで書いているが、現役学生時代に落ちこぼれ山岳部員だった私が夢を育んでいたラインホルト・メスナーの一連の著書、山岳部OBが寄贈した明治学院大山岳部のヌン東稜登山隊報告書、小樽赤岩のクライミングトポ、シェリダン・アンダーソンの『バックパッキング教書』、朝日新聞社の『探検と冒険』全巻・・・全て処分されていたようで、もう書架には一冊も残っていない。

「登山」の項目の書架には山と渓谷社の技術書、コースガイド本が10冊ほど並べられているだけだった。

今の山岳部の高校生って、何を目標に、どんな夢を持っているのだろう。

今年は新一年生4人が入部、新二年生は2人転部してきて14人になり、山岳部もにぎやかになりそうだ。

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OBとの時間

2月×日

立正大学体育会山岳部OBのY先輩、来県。

諸事情により、会社出勤時のほんの数分、宿泊先のビジネスホテル前で落ち合う。お元気そうで何より。

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千葉県名産の落花生、山形では入手できない『ゆで落花生』をいただき、数日かけて食す。わずかに効いた塩味が美味しい。山形では落花生を茹でて食べる機会はないのだが、こうして『ゆで落花生』を食べてみると、「ナッツ」よりも「豆」の風味が強調されていて美味しいのだ。Y先輩ごちそうさまでした。

2月×日。

山形南高校山岳部OB会総会に出席。

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 度々ブログで書いているが、高校山岳部時代は体力が全く無かったため辛い思い出しか無い。そこから産まれたネガティブな感情から高校OB会には一切関係を持たなかった。今でも同窓会の郵便物は開封せずゴミ箱に叩き込んでいるが、山岳部OB会の郵便物はきちんと目を通し年会費も送金していた。

 今や山形を代表する山屋・吉田岳君にスポーツOB会に誘われたり、現・山形東高山岳部顧問の田中OBと共に朝日少年自然の家企画事業の山行を共にしたり、1年上のOBの皆様に飲み会に誘っていただいたりしているうちに、少しずつ繋がりが出来、さらに決定的なのは息子が山形南高校山岳部で現役部員としてお世話になっていることだった。

 御礼も兼ねてOB会総会に出席。田中OB以外は皆はるかに年長のOBばかりだが、 皆さん今も北アに足を延ばしたり、スキーインストラクターを務めたり、山地を買い取って林業にいそしんでいたり・・・とアクティブに活動されていた。

 学校山岳部はいろいろ批判があるけれど、年齢を超えて繋がりが続くことにも意義はあるのかもしれない。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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息子の冬山

獅子は我が子を修学旅行に追いやるという(あれ違ったっけ?)

息子の高校では保護者アンケートの結果、修学旅行を決行。行先は盛岡・青森・函館ツアー。

私はもちろん、コロナ感染のリスクを冒してでも息子には外の世界を見てほしかった。

行く前は「そんな暇あったら勉強してえ」とかブーブー言っていた息子、帰ってきてみるとかなり楽しんできた様子。

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わんこそばクラス1位だったらしい。なんとなく父親として嬉しい。

さらに英検2級に合格。父親の私は英検準2級。食欲も学力も負けた。

今週末は冬山の訓練登山。

保護者向け計画書を見ると、ロープウェイから山小屋までのガイド役として、S氏の名前があった。

S氏は山形クライミングクラフト会員としてヒマルチュリ登頂に成功された方。当時、キチガイ議員からヒマラヤ遠征の長期休暇を議会で問題視され、S氏は職場で相当苦労なさったと聞く。(この件は今は無きクライミングジャーナル誌読者欄にも掲載されていた。)

おりしも、栃木県高体連山行による雪崩遭難事故の被告となった教員の主張内容が問題視されている。

私も高校山岳部員の保護者としてリスクを抱えると同時に、いろんな方からバックアップをいただいていることを知る。

まずは気をつけて行ってらっしゃい。

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技術と言葉

10月×日

 気温11度、東京では88年ぶりという低温。

 冷たい雨に打たれ、荒川区の片隅で現場作業。

 若手E君の操るアメリカ製の工事機械、地盤条件が悪く、あと少しのところで作業完了できない。

 今日中に完了させる条件付の場所で時間が迫る。

 若手E君のプライドを傷つけないよう、「ちょっと俺やっていいかい?」と断ってから操縦を代わる。

 私が工事機械を操り、何とか作業を終えた。

 若手作業員の操縦のやり方やクセは普段から細かく見ているつもりだったが、今日はなぜE君にできなくて私ができたのか、原因がわからない。

 何か技術的な差異があるはずなのだが、それを言語化して人に伝えることができないのだ。

 なんとも苦い思いで現場を退出して宿に戻る。

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冷たい雨の中、洗濯のために宿の近所のコインランドリーに行く。

最近のコインランドリーはテーブル・イス完備。疲れ切っていたので、洗濯に要する30分の間、テーブルに突っ伏して静かな時間を過ごす。

 

10月×日

東京出張を終え、帰宅。

高校山岳部員の息子から、

「登山の用語に関する本とか無い?」と聞かれる。

聞けば、高校総体の地区大会で登山用語を問うペーパーテストがあるという。息子のスマホ画面を見せてもらうと、「藪漕ぎ」「ピッケル」などの登山用語と、その意味について書いてある一覧表が写っている。

ガイドとしてお恥ずかしい話だが、洋書を読むためにマット・サメット編纂のクライミング用語の英語辞書は買いそろえていたが、肝心の日本語の登山用語集は持っていない。久々に文部省(当時)の『高みへのステップ』など取り出してみるが、残念ながら索引が無い。

山岳メディアが過去に出版した登山用語集は、公立図書館でも禁帯出本なので急ぎアマゾンにて発注。

技術と言葉。そんなことを意識した一週間だった。

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